- 就職の選考では、今も大学名が見られます。就活生の67.5%が「学歴フィルターはある」と答えた調査もあります
- 一方で、1つの会社に定年まで勤めたいと考える人は減っています。経団連の会長も、終身雇用を前提に会社を運営するのは限界だと話しました
- 台湾の大学を出た日本人は、新卒として日本の会社を受けられます。海外の大学の卒業生を採る枠を設けている会社もあります
- 親が子どもに用意できるのは、情報と経験と後方支援の3つです。中でも、現地で過ごす経験が進路を決める材料になります
いい大学に入れば、いい会社に入れる。いい会社に入れば、一生安泰。親の世代は、そう言われて育ってきました。
今もそのとおりの部分と、もうそうとは言えない部分があります。
僕は台湾の大学への出願を手伝っている、台湾留学のエージェントです。仕事として台湾を勧めていますが、日本の大学から日本の会社へ、という道を否定するつもりはありません。その道のほかにも進路があることを、親に知っておいてほしいと思って、この記事を書きました。
就職の選考では、今も大学名が見られます

就活生の間では「学歴フィルター」という言葉が当たり前に使われています。大学名によって、説明会の予約や書類選考の段階から差がつく、という話です。
就活生向けのメディアを運営する株式会社Synergy Careerが2025年11月に、2026年卒と2027年卒の就活生194人に聞いた調査では、67.5%が「学歴フィルターはあると思う」と答えました。実際に感じたことがあると答えた人も41.2%いました。
だから「学歴は意味ない」は言いすぎです。いい大学を目指すのは、間違いではありません。
ただ、大学名で差がつくのは主に入社の選考です。入ったあとの何十年を、大学名が約束してくれるわけではありません。
いい会社に入れば一生安泰、とは考えにくくなりました
2019年5月7日、経団連の中西宏明会長(当時)は定例の記者会見で「終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることには限界がきている」と話しました。
同じ月の13日には、日本自動車工業会の会長だったトヨタ自動車の豊田章男社長(当時)も、記者会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と話しています。
どちらも、終身雇用をすぐにやめると言ったわけではありません。それでも、日本を代表する会社のトップが、続けるには条件がいると口にしたことになります。
働く側の考え方も変わっています。労働政策研究・研修機構が20歳以上の男女に聞いた調査では、1つの会社に長く勤める「一企業キャリア」を望ましいと答えた人が、2015年の50.9%から、2021年には36.6%に下がりました。
会社が一生面倒を見てくれる、という前提で進路を考える家庭は、これから少なくなり、子どもが大学で何を身につけたかを問われる場面が増えると思います(推測です)。日本の大学を出た学生が横並びになりやすい話は、偏差値40の大学に行く意味はあるのかに書きました。
台湾の大学を出ると、日本の会社の受け方が増えます
台湾の大学では、中国語か英語で専門分野の授業を受けます。卒業するときには、語学と専門分野を両方持っていることになります。
台湾の大学を出た日本人の多くは、日本に帰って就職します。新卒として日本の会社を受けられますし、海外の大学の卒業生を採る枠を設けている会社なら、その枠でも受けられます。日本の外資系の会社に入って、台湾に駐在する人もいます。台湾の大学全体で見ると、卒業した日本人はメガバンク、大手メーカー、外資系の IT 企業、TSMC など、いろいろな会社に就職しています。詳しくは台湾で学んでTSMCに就職するにまとめました。
台湾にいる間に、仕事につながる出会いもあります。僕は在学中、台湾の社会人サッカーリーグで、日本人の駐在員が集まるチームに入っていました。各社の台湾支社の代表や社長クラスが集まるチームで、そこから就職先が決まった日本人のチームメイトもいます。
親が子どもに用意できるのは、情報と経験と後方支援です

親にできることは3つあると、僕は考えています。
1つ目は情報です。進路の情報を集める力は、高校生より親のほうがあります。弊社に相談に来る学生も、ほとんどは親が見つけてきて子どもに勧めた、という流れです。
2つ目は経験です。情報だけでは、人はなかなか動けません。その道のプロに話を聞きに行く機会や、現地に行ってみる機会を作ってあげてください。
3つ目は後方支援です。決めるのも、動くのも子どもです。親は後ろで見守って、困ったときに手を貸してください。親の関わり方は保護者向けの記事に詳しく書きました。
この中で、親が一番用意しにくいのが2つ目の経験です。
サマーキャンプに参加した子は、留学を自分の進路として考えられるようになります
経験の一つとして、弊社では夏休みに台湾の大学で過ごすサマーキャンプを開いています。2026年は11日間と25日間の日程でした。
参加する前の子の多くは、台湾のことをほとんど知りません。台湾留学はいいと思っていても、現実味がない状態です。キャンプでは台湾の大学で授業を受け、大学の寮に泊まり、放課後は台湾人の学生と遊びに行きます。これを経験すると、留学が自分の選べる進路の一つとして見えてきます。
ある女子生徒は、キャンプに来たとき台湾に行くかをまだ決めていませんでした。最初は不安で泣いていました。それでも1か月を過ごすうちに友達がたくさんでき、スタッフと淡水の夕日を見に行くころには「世界が広がる」と思えるようになったそうです。いまは奨学金を受けて台中の逢甲大学に通い、台湾の生活を楽しんでいます。本人の話はサマーキャンプで泣いた高校生が、奨学金つきで台湾の大学へで読めます。
参加して「やっぱり台湾は合わない」と分かる子もいます。それも大事な経験です。別の進路に迷わず集中できるようになるからです。
入学の直前に初めて台湾に来る生徒は、1年目でつまずきやすいです。入学前に一度、自分の目で台湾を見ておくと、そのつまずきを減らせます。
僕自身も、高校のときに参加した約2週間のサマーキャンプで、台湾に行くと決めました。これまでキャンプに参加してくれた200人近くの学生を見てきて、若いうちのこういう経験は人を大きく育てると思っています。
キャンプのあとに台湾の大学を考え始めたら、次はお金の話です。4年間でかかる学費と生活費は台湾留学の費用にまとめました。
全員が台湾に来る必要はありません
日本の大学から日本の会社へ。この道は、これからもなくなりません。日本の大学で学びたいことがはっきりしている子は、その道を行けばいいと思います。
台湾留学は、選ぶ人の少ない道です。全員が来る必要はありません。選ぶ人が少ないので、その経験は就活でも人と違う話になります。向かない子の線引きは台湾留学はおすすめしない?に書きました。
台湾を考えるなら、決める前に次の3つを確かめてください。
確認1: 子ども本人が「行きたい」と言っていますか。 親が勧めたい気持ちと、本人の気持ちは別です。本人の口から聞いてください。
確認2: 決める人が全員そろって話しましたか。 あとから反対が出ると話が止まります。
確認3: 入学する前に、一度台湾を見に行く予定がありますか。 サマーキャンプでも、家族旅行でも構いません。
よくある質問
Q. 台湾の大学に4年間通うと、費用はどのくらいかかりますか。
学費は年およそ50万円です。寮や郊外で一人暮らしをすると、学費と生活費と帰省の渡航費を合わせて、4年間でおよそ500万円です。詳しくは台湾留学の費用に書きました。
Q. 海外の大学を出ると、日本の会社に入りにくくなりませんか。
新卒として日本の会社を受けられます。海外の大学の卒業生を採る枠を設けている会社もあります。
Q. サマーキャンプに参加したら、台湾に決めないといけませんか。
いいえ。参加して合わないと分かり、別の進路に決める子もいます。それも参加した意味の一つです。
道は一つではないと、子どもに見せてあげてください
いい大学からいい会社へ、という道のほかにも、子どもが選べる進路はあります。それを知ったうえで決めてほしいと思います。
台湾という道がお子さんに合うかどうか、一度親子で話を聞きに来てください。合わないと分かったら、弊社はそうお伝えします。


