- 国立台北科技大学の半導体プログラムは、4年生でTSMCの新人研修センターの科目を受け、修了直前に大学がTSMCへの就職活動を支援します(台北科技大学の合同説明会の資料より)
- 年収の目安は、設備・プロセスエンジニアの学士新卒で約600万円、5年で約1,000万円。5年で1,000万円に届く割合は80%以上です
- 入り口はTSMCだけではありません。熊本のJASMと、UMC・東京エレクトロン・マイクロンなど合同採用マッチング会に来る企業があります
- 迷ったら、設備・プロセス・研究開発のどの仕事を狙うかを紙に書いてください。それで大学の4年間でやることが決まります

「TSMCに入れるんですか」。半導体プログラムの面談で、親御さんから出る質問です。
僕はこれまで1,000件以上の進路相談を受けて、この2年で国立雲林科技大学に14名、国立台北科技大学(以下、北科大)に4名を半導体プログラムに送り出しました。
北科大の半導体プログラムが、TSMCへの最短ルートです。 学士新卒の年収の目安は約600万円。入り口は3つあります。
北科大の半導体プログラムは、卒業する前にTSMCの研修センターに入る仕組みです
北科大の「半導体プロセス及び装置学士プログラム」は、TSMCと連携した日本人限定の4年制クラスです(学費と奨学金の全体像は台湾の大学で半導体を学ぶ)。合同説明会で大学が示した仕組みは、次のとおりです。
- 4年生の専門科目のうち2科目(半導体装置の基礎・装置コンポーネントの基礎)を、TSMCの新人研修センターで受けます。 講師はTSMCの現場の技術者です
- 3年生の後半に、大手半導体メーカーのインターンシップ面接に応募できます。 合格すると夏休みに有給インターンとして現場で働きます
- 修了直前に、大学がTSMCへの就職活動を支援します
- 学費は全額免除(2年生以降は成績で全額か半額)。給付型奨学金は上位12名が月1万元、13〜30位が月6,000元です(1年生に適用)
2025年11月の説明会では、TSMCの採用担当者が「学費免除と奨学金はTSMCが出資している」と話していました。卒業後にTSMCに入る義務はありません。
年収の目安は、学士新卒で約600万円。5年で1,000万円に届く割合は80%以上

台湾の半導体産業の平均年収は193.8万元、2024年の円換算で約950万円です(台北科技大学の合同説明会の資料より)。日本の平均年収443万円、製造業516万円の2倍前後です。
TSMCを例にすると、年収は基本給の24〜48か月分(基本給14か月+ボーナス12〜24か月+年末賞与・残業代)で、ボーナスは年収の20〜30%の幅で変動します。
仕事は設備エンジニア、プロセスエンジニア、研究開発の3つ。学士と修士の多くは設備・プロセス、修士・博士の一部が研究開発です。
- 設備・プロセスエンジニア: 学士新卒 約600万円 → 5年で約1,000万円
- 同じく修士新卒: 約800万円 → 5年で約1,200万円
- 研究開発の博士新卒: 約1,000万円 → 5年で1,400万円超
TSMCと台湾証券取引所の公表値とも合います。2026年の修士卒の新人エンジニアの年収は平均220万元(約1,100万円)、2025年の主管でない社員の平均年収は407.2万元(約2,000万円)で、台湾の上場企業の上位10社はすべて半導体でした。
学士で入って5年で1,000万円が、80%以上の人が届く道です。 年収の保証はありません。
入り口はTSMCだけではありません。日本に戻る道と、ほかの半導体企業があります

入り口1. 台湾のTSMC(設備・プロセスエンジニア)。 学士のまま新卒で入る道です。研究開発を狙うなら台湾の大学院(標準2年)に進みます。TSMCは大学3年生以上が応募できる夏のインターン(修士・博士優先)で、成績の良い人に内定を先に出しています。
入り口2. 熊本のJASM(日本に戻る)。 TSMCが過半数を出資する熊本の工場です。2025年10月に第2工場の建設が始まり(2029年前半の稼働見込み)、両工場で3,400名以上を雇用する計画です。北科大の資料も、JASM・東京エレクトロン・マイクロン・UMCの日本工場を「将来の就職先」に挙げています。
入り口3. 合同採用マッチング会に来る、ほかの半導体企業。 北科大は留学生向けに「国際学生企業合同採用マッチング会」を開いていて、資料にはUMC、東京エレクトロン、マイクロン、信越化学、JSR、DISCO、PTI、サムスンなどのロゴが並んでいます。TSMC1社に賭けなくても、半導体の島で働く道は複数あります。
台湾の大学を出た日本人の多くは、日本で就職しています。台湾で学んだ人は、台湾で働く道と日本で働く道の両方を持って卒業します。
TSMCを狙うなら、大学の4年間でやる3つの確認
面談で確認している中から、自分だけでできる3つを紹介します。紙に書いてください。頭の中だけでやらないでください。

確認1. 設備・プロセス・研究開発のどれを狙うか、書きましたか。
設備とプロセスは学士から。研究開発は修士・博士が中心なので、大学院の受験準備が3年生から要ります。決められないなら「設備かプロセス」を仮の答えにしてください。
確認2. 語学の目標を、試験と数字で書きましたか。
英語は、CEFR B1(英検2級・TOEIC 550)の証明を入学年度の4月末までに提出。奨学金の加点は英検準1級・TOEIC 785・IELTS 6.0などです。中国語はTOCFL B2(進階級)が目標です。級の中身はTOCFL完全ガイドに書いてあります。
確認3. 3年生後半のインターンシップ面接に、出す準備をしましたか。
TSMCの夏のインターンは、2026年は5月8日が履歴書の締切でした。3年生の春に応募できるように、2年生のうちに成績と語学を整えてください。出願から入学までの段取りは進学ロードマップにあります。
よくある質問
Q. 学士のままでTSMCのエンジニアになれますか。
設備・プロセスエンジニアは学士から入れます(台北科技大学の合同説明会の資料より)。
Q. 文系でも入れますか。
出願はできます。うちから北科大に受かった4名には文系の子もいます。条件は、高校で数学Ⅲ・C、物理、化学のうち1科目以上の履修です。
Q. 中国語ができないと無理ですか。
授業は英語で、中国語の授業が1〜3年生に18単位あります。入学時点で中国語ゼロでも出願できます(北科大は英語の証明で出願します)。
Q. TSMCに就職できる保証はありますか。
ありません。大学もTSMCもうちも「入れます」とは言いません。準備できるのは、入り口に技術と英語と中国語を持って立つところまでです。
年30名の枠に、応える日本人がまだ足りない
TSMCと台湾の国立大学が、日本人のために年30名の枠を用意して、学費を免除し、研修センターまで開けています。英語と中国語の両方を話せる日本人は5,000人規模で、半導体が分かる人はさらに少ない。この枠に応える日本人が、まだほとんどいません。
迷うのは当然です。入り口が3つあって、日本に戻る選択も残る。でも、迷ったまま高3の秋を過ぎるのが一番もったいない。北科大の一次募集(2027年9月入学)は2026年11月15日で締まります。
台湾留学101センターでは、LINEで無料相談を受けています。成績と語学の現在地から、どのプログラムが現実的かを一緒に確認します。価値を提供できると思えたときにだけ提案し、合わなければ無理には勧めません。
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