- 台湾の大学は「1校」ではなく「5学科」で選びます。弊社では、2学科以上出願した生徒は全員どこかに合格しています(2026年9月入学の28名を含む)
- 決める順番は、語学(英語課程か中国語課程か・国立ラインか私立ラインか)、評定(どこを本命にするか)、やりたいこと(どの学科か)の3つです
- 英語課程なら、IELTS 5.5(TOEIC 785)で国立トップまで全部に出せます。英検2級・TOEIC 550なら、北科大の半導体プログラムと台北の私立に今すぐ出せます
- 評定4.0以上なら淡江・輔仁は安全校です。3点台なら淡江は本命寄りにして、輔仁・東呉・東海を必ず入れます
- 迷ったら、5学科に「挑戦・本命・滑り止め」の札を付けて紙に書いてください。埋まらない枠があれば、そこが相談すべきところです

「結局、どこがいいんですか」。面談で志望校の話になると、最初に出てくる質問です。
僕の答えはいつも同じです。「語学と評定と、やりたいことを聞かせてください。それで出せる大学はほぼ決まります」。
僕は1,000件以上の進路相談を受けて、年間100名以上を台湾に送り出しています。その面談で毎回やっている5学科の決め方を、この記事にそのまま書きます。
僕自身は高3のとき、エージェントをつけずに一人で出願して、3〜4校が締切に間に合いませんでした。滑り込めた1校に行けたのは運です。大学選びで差がつくのは、「どこが良い大学か」を知っているかではありません。「自分の条件で出せるところに、締切前に5つ出せたか」です。
台湾の大学は「1校」でなく「5学科」で選びます。順番は語学、評定、やりたいこと
台湾の大学入試は、原則として筆記試験がなく、評定・語学・作文の書類で決まります。1校ずつ受けに行く日本の受験と違って、同じ書類で複数の大学に同時に出せます。だからうちでは1人5学科まで出願し、「挑戦2・本命2・滑り止め1」の形に組みます。
2学科以上出願した生徒は、全員どこかに合格しています。 2026年9月入学の28名でも同じです(1学科だけ出して落ちた生徒が1名いました)。1校に賭けるのと5学科を組むのとでは、まるで別の勝負です。
かかるのは出願料だけです(1学科2〜3万円。無料の大学もあります)。台湾の大学は入学金がなく、合格を確保するためのお金もほぼ要りません。受かった大学には全部「行きます」と返事をしておいて、国立の一次募集の結果(11月末〜1月)と私立の結果(3〜4月)が出そろってから選べます。例外は北科大の半導体プログラムで、合格後の1月に入学保証金1万2千元(約6万円)を納めます。ほかの結果を待ってからは選べないので、北科大が第一志望なら一次募集、日本の大学と迷っているなら二次募集(納入は4月)に出してください。
ランキングから見始めないでください。届かない大学の学科を眺めているうちに、締切を逃します。語学、評定、やりたいこと、の順に見ていきます。
語学で、出せる大学の範囲が決まります
英語で学ぶ課程(英語課程)と、中国語で学ぶ課程(中国語課程)で、見られる試験が違います。英語課程はIELTS・TOEIC・TOEFL(北科大や淡江など一部は英検も)、中国語課程はTOCFL(台湾の中国語検定)です。この2つは別物なので、混ぜないでください。

英語課程のラインは2本です。
- 国立ライン=CEFR B2(IELTS 5.5・TOEIC 785・英検準1級レベル)。 台湾大学・政治大学・師範大学の英語課程に出せます。ここに届けば、台湾のどの国立にも出せます
- 私立ライン=CEFR B1(IELTS 4.0・TOEIC 550・英検2級レベル)。 北科大の半導体プログラムと、淡江・輔仁・実践・文化など台北の私立の英語課程に出せます
英検2級だけ持っている人へ。英検2級で今すぐ出せるのは、北科大の半導体プログラムと、淡江など一部の私立です。台湾大学・政治大学・師範大学の英語課程には使えません。でも、英検2級を持っているなら、TOEIC 550・IELTS 4.0は取れる力があります。 まず1回受けて、私立ラインを証明にしてください。そこからIELTS 5.5、TOEIC 785まで上げれば国立ラインです。本気で取り組んで、IELTS 5.0から5.5を1か月で取った生徒がいます。
TOEICかIELTSか。TOEICは聞く・読むの2技能で取りやすい。IELTSは4技能で、総合評価としては高く見られます。すでにIELTSを勉強している人は、IELTSで続けてください。
政治大学は、出願のときに語学証明がなくても、合格後2027年6月30日までに出せば入学できます(募集要項に明記されています)。先に出願して、英語を並行で伸ばす組み方ができます。ただし、期限までに取れなければ入学取消です。
中国語課程は、TOCFLのA2〜B1が目安です。台湾大学の政治学系(国際関係組)はA2、師範大学の東亜学系はB1。級の中身はTOCFL完全ガイドにまとめました。「中国語で出願して、英語を学ぶ学科に入る」道もあります(淡江の英文系など)。
評定で、どこを本命にするかが決まります
評定は、出願の時点でもう動かせません。でも評定で「受かるか受からないか」が決まるわけではない。決まるのは、どこを本命にできるかです。
2026年9月入学の生徒の実データです(評定は高校の5段階の平均)。

- 評定4.5以上: 出願21件中20件に合格。台湾大学に2名(評定4.8・4.9)。「上から全部出していい」層です
- 評定4.0〜4.4: 29件中18件。政治大学・師範大学が合格圏、台湾大学は挑戦。淡江・輔仁は安全校です。評定4.0以上で淡江に出した6名は、全員どこかの淡江の学科に合格しています
- 評定3.5〜3.9: 15件中8件。国立は挑戦枠、淡江は本命寄り。滑り止めに輔仁・東呉・東海を必ず入れます。3.7・TOEIC 550の生徒は淡江の英語課程4学科に全部落ちました。同じ評定3点台でも、輔仁は3.3の生徒も3.7の生徒も合格しています
- 評定3.4以下: 6件中5件(評定2.8の生徒を含みます)。国立1〜2を挑戦、私立3を本命に。理系志向なら北科大の半導体プログラムを本命にします。評定2.8・TOEIC 620の生徒が北科大の半導体プログラムに合格し、評定3.3の生徒が真理大学に合格しています。僕も評定3.0で淡江に入りました
国立の人気学科は、評定が高くても落ちます。台湾大学の政治学系は評定4.2・4.3を含む3名が全員不合格、政治大学の外交学系は評定4.8の生徒も不合格でした。だから国立は「挑戦」の札を付けて出します。出願にリスクはほぼないので、届く可能性があるなら出す。落ちても、本命と滑り止めがあります。
評定が低い人へ。評定は3つの材料の1つで、残りの語学と作文(自伝・学習計画書)は今から作れます。評定2.8で北科大に合格した生徒は、語学のラインを越えたうえで志望動機で覆しました。評定ごとに日本のどの大学と同じレベルの大学に届くかは、偏差値早見表の記事に書きました。
やりたいことで、学科を決めます。分野ごとに、うちの生徒が実際に出した学科です
「志望する学科はありますか」と聞いて、決まっていなくてもいい。日本でどの学部を考えていたか、志望理由書に何を書いたかから引けます。
先に3つ。日本で「英語の資格が使えるから経済学部」のように消去法で決めた人は、台湾ではその制約がないので、もっと自由に考えてください。興味が複数ある人は、卒業に必要な128単位のうち20〜30単位が自由なので、選択科目で他学科の専門が取れます。そして、日本語学科・華語文教学系を「受かりやすいから」で選ばないでください。幅が狭くなります。
分野別に、うちの生徒が実際に出願した学科です。
国際・政治・社会(面談でいちばん多い分野)。 国立の本命は、政治大学の創新國際學院(英語・1クラス30名が全員外国人)と、師範大学のGlobal Studies(英語・東アジアの国際関係が中心)。台湾大学は政治学系(中国語・TOCFL A2)か経済学系(英語・数学あり)。私立は淡江の外交・政治経済(英語)、輔仁の跨領域(英語)、東呉・東海・銘傳の政治・国際系です。
経営・マーケティング・貿易。 師範大学の企業管理(英語)、政治大学の企業管理(9割英語・二次募集のみ)、淡江の国際企業(英語)、実践の国際企業(英語)、台北大学の智慧永續発展(英語・TOEIC 550)。
教育。 淡江の教育と未来デザイン(英語)、師範大学の教育系(英語・応募が少なく狙い目)。中国語課程なら屏東・台南・台北市立の教育系(TOCFL B1〜B2)。
理系・半導体。 北科大の半導体プログラム(英語・日本人専用・学費免除に月給付)。文系でも出せます。出願者の9割が文系です。雲林科技大学の半導体(中国語・マネジメント枠あり)、台湾大学の機械・国際半導体(英語)。中身は半導体プログラムの記事に書きました。
語学・文学。 台湾大学の外国語文学系(英語)。「リスクなしで出せる台大の枠」として、いちばんよく出てきます。政治大学の英語系(英語)。中国語で出して英語を学ぶなら淡江の英文系。
ほか。 心理は政治大学の心理(TOCFL A2)、観光・航空は高雄餐旅と淡江の国際観光(英語)、化粧品科学は中國醫藥と靜宜、メディアは淡江の大衆伝播、CSは銘傳の国際学部と淡江。
学科が見えたら、台湾の大学データベースの学科ページで、1〜2年で何を学び、3年から何に分かれるかを見てください。外国人枠の人数もそこにあります。「ほかの学科は外国人枠1〜5名、ここは30名丸ごと」のような差が、入りやすさです。
条件別に、5学科はこう組みます
面談で使っている7つの型です。自分に近いものを見つけてください。

型A 最上位(IELTS 6.0以上・評定4.5以上)。 国立3〜4(台大を本命にできる・政大 創新・師大 Global Studies)+私立1(淡江)。上から全部出していい。
型B 標準(評定4.0〜4.9・IELTS 5.5を10月までに取れる)。 国立3(政大 創新・師大 Global Studies・台大の外文か経済)+私立2(淡江・輔仁。この評定なら安全校)。台大は実力試しです。
型C 語学待ち(評定4.0以上・英語は英検2級かIELTS 5.0)。 政大(語学の猶予あり)を中心に先に出す。私立(淡江・輔仁)は資格が足りているので確定枠。国立の二次募集(台大は1月・師大は3月)に語学が間に合えば足します。
型D 私立本命(評定3.0〜3.9)。 国立1〜2を挑戦(政大 創新・師大)+私立3を本命(淡江2学科+輔仁)。滑り止めをもう1つ下に置きます(東呉・東海・実践・文化)。IELTS 5.5があれば国立を2つに増やします。
型E 理系・半導体(理系志向・英検2級あり)。 北科大の半導体を本命(出願9月1日〜11月15日)+台大の理系か経済+政大+師大+私立1。数学・物理・化学の履修と、ものづくりの原体験を志望動機にします。
型F 中国語が強い(TOCFL B1以上)。 中国語課程を含めて組めます。国立5学科だけ(政大・師大・台大)で私立を出さない組み方もあります。
型G 志望が未定(「英語を伸ばしたい」だけ)。 横断型(政大 創新・師大 Global Studies)+英文系+企業管理を並べて、学科ページを見た反応で決めます。私立は語学と評定が見えてから足せばいい。
型を決めたら、4つの原則で仕上げます。
- 同じ大学は2学科まで。 台大なら経済+外文、淡江なら外交+教育未来デザイン、のように
- 台北を優先する。 トップ4(台大・清華・陽明交通・成功)のうち台北にあるのは台大だけ。政大・師大は台北。私立でも台北なら上位です。うちは滑り止めでも台北の私立を取ってもらっています。大学の序列はランキングの記事に書きました
- 一次募集で出す。 枠が埋まる前の一次のほうが、圧倒的に受かりやすい
- 国立に受かる見込みがあっても、私立を出す。 出願イコール奨学金の申請で、私立のほうが奨学金が出やすい。中身は奨学金の記事に書きました
選び方で失敗する、4つのパターン
1. 語学要件を見ずに学科を決める。 師範大学の体育系は中国語の要件があって、候補から外れた生徒がいます。学科ページの語学要件を、最初に見てください。
2. 日本語学科を「受かりやすいから」で選ぶ。 4年間の幅が狭くなります。日本語を使いたいなら、日本語を選択科目で取ればいい。
3. 台北以外の私立を、最初から滑り止めにする。 基本は台北で組みます。逢甲・中原のように私立の中で評価の高い大学は、台北で組めないときの候補です。
4. 語学の結果を待たずに、国立を落とす。 5学科を1回で決め切る必要はありません。うちの面談は、初回で候補を5〜7個出して語学試験の日を決め、2回目に結果を見て国立ラインに乗るかを判定し、3回目に国立の結果を見て私立を足します。9〜10月に語学試験を受けられない人は、政大(猶予)と私立(年明け)を中心に組めばいい。
自分で5学科を組むための、3つの確認
面談で実際にやっている中から、自分だけでできる3つです。紙に書いてください。頭の中だけでやらないでください。

確認1. 語学試験の受験日を、締切から逆算して決めましたか。
2027年9月入学なら、北科大は9月1日〜11月15日、政大は9月22日〜10月15日、台大は9月29日〜11月5日、師大の学士は1〜3月、私立は12月〜4月に大学ごと(輔仁は2〜3月、淡江は2月下旬から6月まで3回)。台大の一次に出すなら10月頭までに結果が要るので、9月中に受けます。国立の二次募集(台大1月19日・師大3月2日・政大3月4日)は、1〜2月にIELTS 5.5が取れれば間に合います。全体の流れは進学ロードマップの記事にあります。
確認2. 5学科に「挑戦・本命・滑り止め」の札を付けましたか。
同じ大学は2学科まで。滑り止めは評定で決めます。4.0以上なら淡江・輔仁、3点台なら輔仁・東呉・東海。札が「挑戦」ばかりなら、滑り止めが足りていません。
確認3. 5学科の語学要件と特有の書類を、その年の募集要項で確認しましたか。
出せる学科は毎年変わります。2027年入学の台大は、英語で出せる文系の学士が経済と外文の2つだけです。書類も学科で違います。台大は英作文(約1,000語)と、外文なら3分の面接動画。北科大は1分以上の英語の志望動機動画。政大の創新は必要に応じて面接。台湾の大学データベースに各校の募集要項を載せています。
よくある質問
Q. 台湾大学と政治大学、どっちがいいですか。
どこまで深く学びたいかで決めます。台大は本当に大変で、休学する人もいます。インターンや交換留学の余力を残すなら政大まで、という判断もあります。台大の実像は国立台湾大学の記事に書きました。
Q. 国立に受かる見込みがあるなら、私立は出さなくていいですか。
出してください。私立のほうが奨学金が出やすく、全額免除が出たので私立を選んだ生徒もいます。合格した大学には全部「行きます」と返事をして、最後に選べます。
Q. 5学科分の書類を、5回作るんですか。
全部オンライン出願で、1つ作ればデータを流用できます。社会科学系なら、自伝と学習計画書は大学が違ってもほぼ同じで通ります。
Q. 面接や試験はありますか。
台大・政大は原則書類審査です。ただし政大の創新と外交は必要に応じて面接、台大は一部の学科で面接や筆記があり、外文は3分の面接動画を出します。師大は学科によってオンライン面接、北科大は志望動機の動画です。
Q. 志望学科が決まっていません。
型Gです。横断型の学科(政大 創新・師大 Global Studies)と英文系・企業管理を並べて、学科ページを見た反応で決めます。入ってから選択科目で他学科の専門も取れるので、1つに絞り切らなくていい。
「日本の大学に届かないから台湾」で止まっている人へ
「MARCH以下しか行けないから、台湾にしようかな」。そう言って面談に来る人がいます。
そこで止めないでください。台北の私立でも、日本の大学ランキングでは明治・同志社と同じレベルか、それより上です。日本の学歴フィルターの外で、語学と4年間の経験で戦えます。評定3.0の僕がそうでした。
迷っているなら、それでいい。5学科を1回で決め切る必要はありません。初回で候補を出して、語学試験の結果を見ながら、2〜3回で確定していけばいい。迷ったまま止まって、締切を逃すことだけが、確実に選択肢を減らします。
台湾留学101センターでは、LINEで無料相談を受けています。あなたの評定と語学と、やりたいことで、5学科の表を一緒に埋めます。深く話を聞いた上で「この人には価値を提供できる」と思えたときにだけ、提案をします。合わないと判断したら、無理には勧めません。
まずは、評定と語学の現在地を紙に書くところから。相談してください。



