「台湾大学データベース」という、台湾の大学を日本語で調べられるサイトを作りました。2026 年 3 月の終わりに作り始めて、いまの数字はこうなっています(10 月 14 日時点)。
- 台湾の大学 128 校・2,392 学科を、日本語で調べられる
- そのうち 741 学科は、必修も選択も、全科目の授業を日本語で読める(学期ごとに数えて 5 万 7,000 科目)
- Google で「台湾大学一覧」と検索すると、1 番上に出る
台湾の大学を目指すうちの生徒が、自分で大学と学科を調べてくるようになり、いまの面談は、どの書類をいつまでに出すかといった、合格に向けた準備の話が中心になりました。
このサイトは、僕が 1 人で作りました。本業は台湾留学のエージェントの経営で、エンジニアとしての知識はゼロです。前回の記事で書いた台湾の中国語の発音アプリ「台湾スピーク」と同じく、コードは一文字も書かず、全部 AI に書いてもらっています。
AI があれば簡単だったかというと、そうでもありません。大学と学科が並ぶだけのサイトなら、作り始めた翌日にはできていました。大変だったのは、学科ごとの授業を全部そろえて、間違いを 1 つも残さないことです。夏からは授業の情報を 1 校ずつ集めていますが、載せたあとにも間違いが何度も見つかり、そのたびに直してきました。それでもまだ、全学科の 3 割です。
1 日でできたものに何が足りなかったのか。間違いの許されない情報を、コードの書けない僕がどう確かめてきたのか。順番に書きます。
学科で何を学べるのかを、日本語で調べる場所がありませんでした
うちの生徒は、台湾の大学に入るために勉強しています。志望校を選ぶとき、一番大事なのは「その学科に入ったら、何を学べるのか」です。
ところが、それを日本語で調べられる場所がありませんでした。台湾の大学を日本語で紹介しているサイトはあっても、学科ごとの授業までは載っていません。生徒は大学の公式サイトに行って、中国語で読むしかなかったんです。
もちろん、面談では僕たちが調べて伝えていました。面談の前に希望の大学をアンケートで聞いておき、スタッフが大学や学科のサイトを調べて、「この学科では、こういうことを学ぶよ」と一緒に話していました。ただ、毎日面談できるわけではありません。ふだんは生徒自身に調べてもらうしかなく、うまく調べられないことが何度もありました。
生徒が自分で、日本語で、学科の授業まで調べられる場所が必要でした。いま調べても、学科ごとの授業を日本語で科目まで読める場所は、ほかに見つかりません(2026 年 10 月時点、私たちが調べた範囲で)。
ずっと作れなかったデータベースが、1 日で形になりました
日本語の大学データベースは、ずっと作りたいと思っていました。作れなかったのは、僕がコードを書けなかったからです。しかも、載せたい大学は 130 校近く、学科にすると 2,000 を超えます。全部集めて日本語にするのは、普通にやったら 1 年以上、下手をすれば 2〜3 年かかる大きな仕事です。
動き出したのは、3 月の終わりのある日でした。入学の相談を受けていた方に出す資料のために、希望に合う学科を調べていると、ある大学が、学科の情報をまとめて、プログラムで取り出せる形で公開していると分かりました。1 年生から 4 年生まで何を学ぶのかも、そこから調べられそうでした。台湾の大学と学科の一覧も、台湾の公的な窓口がまとめて公開しています。
この仕組みと一覧を使えば、全部の大学・全部の学科の情報を集められるかもしれない。その日の夕方には、ずっとあった構想を AI に伝えて、全部の大学と学科の情報を集め始めました。
翌日には、大学と学科が 1 ページずつ並んだ、2,500 ページを超えるサイトができていました。
2,500 ページあっても、肝心の「何を学べるか」が載っていませんでした
サイトを開くと、大学名と学科名はきれいに並んでいました。でも、その学科で何を学べるのか、どんな授業があるのかは、ほとんど分かりません。生徒が志望校を決めるのに一番大事なところが、まるごと抜けていたんです。

その日のうちに、これでは情報が粗すぎる、各学科の必修と選択の授業は絶対に要る、と伝えました。
すぐに、台湾の学生向けの進学情報から、学科ごとの授業を足しました。ただ、載っているのは主な授業だけで、必修の授業が数科目しか載っていない学科も多くありました。
もう 1 つ困ったのは、どれも台湾の学生のための情報だったことです。画面に出ていた学費は台湾の学生の金額で、出願に必要な書類の欄は空っぽでした。日本から出願する生徒が知りたいのは、留学生として出願できる学科と、留学生向けの書類と締め切りです。それが書いてあるのは、大学ごとに出している外国人向けの募集要項(留学生の出願の案内)だけでした。
形は 1 日でできても、生徒に役立つ中身をそろえるのは、ここからでした。
出願の書類に授業名まで書くから、全科目が要りました
台湾の大学に出願するとき、生徒は「学習計画書」という書類を出します。大学に入ったら、何をどう学ぶのかを書く書類です。
ここでは、1 年生ではこの科目に力を入れ、2 年生ではこれ、3 年生、4 年生では……と、その大学の授業を調べたうえで書くことがとても大事です。科目名までしっかり落とし込めると、大学側にも「ちゃんとこの大学に行きたくて、リサーチした上で出願しているんだな」と伝わります。
そのためには、必修だけでなく選択の授業も、全部の科目が要ります。そして、科目名が間違っていたら意味がありません。
外国人向けの募集要項は、夏までに 120 校分をそろえて、出願の時期や必要な書類をサイトに載せていました。でも募集要項には、出願できる学科は書いてあっても、その学科で何を学ぶのかまでは書いてありません。そこで 7 月、必修も選択も全部の授業を、学年と学期ごとに載せると決めました。
早く済ませる方法もありました。サイトにはすでに、台湾の学生向けの進学情報から入れた授業が載っています。それで全部の授業が正しくそろうなら、それでもいいと考えました。でも、その情報で埋まるのは授業の一部だけでした。それでは学習計画書には使えません。僕は、大学が公式に出している授業の表を、1 校ずつ集める方を選びました。
時間がかかっても、正確な方を選ぶ。ここに迷いは一切ありませんでした。一番大事なのは、生徒が大学に受かることです。確実な情報を届けることが最優先だと、いまでも思っています。
7 月 21 日、最初の 59 学科の授業を、サイトに載せました。
夏休み、生徒が自分で志望の学科を調べ始めました
4 月にサイトを公開して生徒に知らせたときは、反応はそこまでではありませんでした。出願はまだずっと先で、みんな大学を調べる時期ではなかったんです。
変わったのは夏休みです。生徒が集まるサマーキャンプで出願校を具体的に決めることになり、志望の学科を 5 つ決めて出してもらいました。そこから、みんなが自分でサイトを開いて、志望の学科を調べ始めました。面談でも、生徒のほうから「だいたいこの学科にします」と話してくれるようになりました。
サイトのページが見られた回数も、7 月から 9 月で 4 倍になりました(生徒以外の方の閲覧も含みます)。

授業まで読める学科も、夏のあいだに増やしていきました。大学の数が多いので、いくつもの大学を同時に進められるようにして、9 月の初めには 600 学科を超えました。
間違いは 1 つも許されないのに、何度も見つかりました
8 月、作業を任せている AI に、僕はこう伝えています。「カリキュラムはかなり重要で漏れや嘘があるとかなりまずいものですので、僕に聞かずに 100%の確証が出るまでやめないでください」。
それでも、漏れは見つかりました。
ある大学について、AI の調べでは「授業の表をまとめて公開していない」という結果でした。でも、似た大学では学科ごとの表が見つかっています。おかしいと思い、ちゃんと調べ直せば学科ごとの表が絶対にあるはずだ、と言って調べ直させると、やはりありました。「無い」と判断していた 5 校のうち、4 校には表がありました。
台湾の大学は、授業の表を 1 枚の PDF や画像にして、学科のサイトに置いていることが多いんです。それをちゃんと読んでいるのかを確かめさせると、大学のサイトから集めてあったのに、一度も中を読んでいなかった授業の表が、148 学科分もありました。
載せたあとに見つかった間違いもあります。10 月に、授業を載せていた学科を、大学がいま出している最新の表と突き合わせると、およそ 4 学科に 1 つで、古い年度の授業が載っていました。「英語で学べる」の印も、付けていた学科の 6 割が誤りでした。大学院などほかの課程の情報を、学部の学科に当てていたんです。
英語で学べると思って選んだ学科が、実は中国語の授業だったら、志望校選びそのものがずれてしまいます。古い年度の授業名を学習計画書に書けば、「調べたうえで出願している」と伝えるための書類が、逆の印象を与えかねません。
本当にヒヤッとしました。見つかった間違いは、すべて直しています。
1 つも間違えないために、大学の原本と 1 行ずつ突き合わせました
最初は、大学が書いている卒業に必要な単位の合計と、載せる授業の単位の合計が合えば正しい、という条件にしていました。ところが確かめていくと、合計は合っているのに、選択の授業が必修になっていたり、単位が違っていたりする間違いが、何度も見つかりました。
そこで、生徒が実際に見る画面の中身を、大学が出している原本と 1 行ずつ、AI に突き合わせさせることにしました。見るのは合計ではなく、1 行ずつ同じかどうかです。
大学自身の資料どうしが食い違っていて、どちらが今のものか確かめられない学科は、いったん載せるのをやめました。10 月には、確かめきれない 50 学科を、一度サイトから下げています。そのあとも、確かめられた学科を新しく足していき、いまは 741 学科です。

ほかにも、間違いが出るたびに決めたことがあります。
- 「無い」という報告は、うのみにしない。何を調べて、何が無かったのかまで確かめる
- 載せたあとも、毎週自動で大学のサイトを見に行き、新しい年度の表が出ていないかを確かめる
- 訳は、生徒に意味が伝わるかで決める。台湾の授業名によく出る「專題」を、初めは字のまま「専題」と訳していましたが、日本語では通じません。いまは中身に合わせて「特別研究」「ゼミ」などに訳し分けています
どこまで確かめれば、生徒に出してよいのか。その基準を決めるのは僕の仕事で、コードが書けなくてもできることでした。
面談が、合格に向けた準備の話に変わりました
一番嬉しかったのは、生徒が自分で調べて、学習計画書を仕上げるところまでできたときです。以前はここにすごく時間がかかっていたので、本当によかったと思います。
面談も、だいぶやりやすくなりました。前は、面談の前にスタッフが大学や学科を調べて準備していましたが、いまは生徒が自分で調べてきます。いまの面談の大半は、どの書類をいつまでに、どういう手順で出すかという話です。授業の説明に使っていた時間を、合格に向けた準備に使えるようになりました。生徒が自分で大学を選べるようにする、という最初の目的は、かなり達成できたと思います。
スタッフも、生徒一人ひとりの出願スケジュールを立てるのが、すごく楽になりました。出願できる学科、必要な書類、締め切りがサイトに載っているので、それを見ながら「これはいつまでに用意してください」と伝えられます。
まだうちの生徒になっていない方との面談でも、その学科で具体的に何を学ぶのかを、その場ですぐに見せられるようになりました。生徒が出願の書類づくりに使う、うちの出願支援の AI「AIリッキー」にも、このサイトの授業の情報を入れています。
検索で見つけてくれる人が増えたのも、嬉しいことです。
授業まで読める学科は、まだ 3 割です
授業を全科目読める学科は、いま 741 学科です。全部の学科の、まだ 3 割にすぎません。目標はもちろん 100%、全学科の全科目をそろえることです。
最終的には、台湾の大学を目指すすべての人が、このサイトで調べられるようにしたいと思っています。
台湾大学データベースは、登録なしで、誰でも無料で使えます。気になる大学や学科があれば、のぞいてみてください。


